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本紹介(『雪の花』) §280

九鬼トシユキです。

今回は本紹介。
吉村昭『雪の花』

かつて天然痘は、
非常に高い感染率と高い致死率で、
多くの人を悩ませていました。

江戸時代後期、
天然痘を防げる「種痘」の存在が、
西洋から日本に伝えられます。

種痘というのは、
いわゆるワクチンですね!

福井藩の医師笠原良策は、
なんとかして種痘を手に入れ、
藩内で猛威をふるう天然痘を撲滅しようと駆け回ります。

この種痘というのは、
牛がかかった天然痘(牛痘)が元となっていて、
牛痘を人に接種すると、
天然痘の抗体が作られて天然痘にかからなくなります。

そして牛痘を人に接種すると腫れが生じ、
その腫れの膿を人から人へと接種することで、
同じ効果が得られます。
また安全面で言えば、
牛痘は非常に弱いので命の危険性はありません。

笠原良策は、
まさに命がけで種痘を福井に持ってくることに成功しますが、
命の危険性がないと言われても、
それで天然痘が防げると言われても、
人々は種痘を接種することを避けます。

牛痘と言われても天然痘ですし、
西洋医学の理解が全くない時代ですから。

種痘を福井に持ってくることに成功したとは言え、
種痘が有効に働く時間には限りがあるので、
その時間内に人から人へと接種し続けていかなければ、
種痘が途絶えてしまう危険性があります。

現在は天然痘が撲滅されています。
撲滅までの過程には、
笠原良策のような人物の存在があっただけではなく、
種痘の理解が全くない中で得体の知れない種痘を受け、
種痘を次の人へ繋げてくれた人々の存在も忘れてはなりません。



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本紹介『聖の青春』 §262

九鬼トシユキです。

今回は久しぶりの本紹介。

大崎善生『聖の青春』(角川文庫)

今年は将棋の話題が盛り上がりました。
さて、
村山聖というプロ棋士をご存じでしょうか?

村山聖さんは羽生善治さんと同世代の棋士、
「東の羽生 西の村山」
と称されるほど物凄く強い棋士でした。

『聖の青春』は、
その村山聖さんを描いたノンフィクション小説です。

この本を知る少し前、
病を抱えながら強い棋士がいたことを知りました。
その時は残念ながら名前までは覚えられず、
『聖の青春』の存在を知ってから、
病を抱えた棋士=村山聖さんと認識しました。

村山聖さんは幼い頃、
ネフローゼ症候群という腎臓の病を発症し、
その病を抱えながらの棋士生活を送ります。

実は、
棋士は将棋を指すだけで、
ものすごく体力を使っています。
脳の消費するエネルギーが凄まじく、
将棋を指すだけで体重が減るようです。

少し疲れると体調が悪化してしまい、
倒れてしまう村山聖さんの棋士生活はまるで、
将棋を指す行為が自ら命を縮める行為でもあるかのようです。
それでも村山さんの将棋は恐ろしく強いんですから、
読んでいて胸が熱くなります。

1998年8月8日、
村山聖さんは膀胱癌で亡くなりました。
29歳。

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