九鬼トシユキです。
今回は本紹介。
吉村昭『雪の花』
かつて天然痘は、
非常に高い感染率と高い致死率で、
多くの人を悩ませていました。
江戸時代後期、
天然痘を防げる「種痘」の存在が、
西洋から日本に伝えられます。
種痘というのは、
いわゆるワクチンですね!
福井藩の医師笠原良策は、
なんとかして種痘を手に入れ、
藩内で猛威をふるう天然痘を撲滅しようと駆け回ります。
この種痘というのは、
牛がかかった天然痘(牛痘)が元となっていて、
牛痘を人に接種すると、
天然痘の抗体が作られて天然痘にかからなくなります。
そして牛痘を人に接種すると腫れが生じ、
その腫れの膿を人から人へと接種することで、
同じ効果が得られます。
また安全面で言えば、
牛痘は非常に弱いので命の危険性はありません。
笠原良策は、
まさに命がけで種痘を福井に持ってくることに成功しますが、
命の危険性がないと言われても、
それで天然痘が防げると言われても、
人々は種痘を接種することを避けます。
牛痘と言われても天然痘ですし、
西洋医学の理解が全くない時代ですから。
種痘を福井に持ってくることに成功したとは言え、
種痘が有効に働く時間には限りがあるので、
その時間内に人から人へと接種し続けていかなければ、
種痘が途絶えてしまう危険性があります。
現在は天然痘が撲滅されています。
撲滅までの過程には、
笠原良策のような人物の存在があっただけではなく、
種痘の理解が全くない中で得体の知れない種痘を受け、
種痘を次の人へ繋げてくれた人々の存在も忘れてはなりません。
今日もありがとうございます!
「栃木の城+α」
管理人:九鬼トシユキ
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